Jadon Sancho(ジェイドン・サンチョ)は2021年に7300万ポンド(約117億円)の移籍金でマンチェスター・ユナイテッドに加入しましたが、わずか数年でチェルシーから「契約しないための」支払いを受けるほどまで評価を落としました。
この記事では、サンチョの転落の経緯を詳しく解説します。
- サンチョは遅刻癖が問題視され、ユナイテッドでのキャリアが躓きました。
- テン・ハグ監督との対立が深刻化し、チームから追放される事態に発展しました。
- ドルトムントへのレンタル移籍では一定の復調を見せましたが、完全復活には至りませんでした。
- チェルシーは成績が基準に達せず、サンチョを完全移籍で獲得せずに500万ポンドの違約金を支払いました。
サンチョの輝かしいスタート
2020年夏、サンチョはヨーロッパのトップクラブから引く手あまたの存在でした。
ドルトムントでブンデスリーガ17ゴール16アシストという鮮烈な記録を残し、「次世代スター」として注目されていました。
しかし、ユナイテッドが交渉期限を無視した結果、実際に契約が成立したのは2021年7月でした。
サンチョ自身は「夢が叶った」と喜びましたが、実際の活躍は期待に遠く及びませんでした。
遅刻癖がキャリアを阻む
マンチェスター・ユナイテッドでのスタートは、芳しくありませんでした。
当時の監督オーレ・グンナー・スールシャールの指揮下でチームの成績が低迷し、2021年11月にスールシャールが解任されました。
後任のラルフ・ラングニック暫定監督のもとでも調子を取り戻せず、サンチョは最初のシーズンを5ゴール3アシストで終えました。
2022年夏、新監督エリク・テン・ハグの就任で状況の改善が期待されましたが、サンチョの遅刻癖が再び問題となりました。
ドルトムント時代は多少許されていたものの、イングランド代表やユナイテッドでは見逃されることがなく、2023年秋には、ワールドカップメンバーからも外れました。
テン・ハグ監督との対立とSNS騒動
2023年9月、サンチョが試合メンバーから外れた理由についてテン・ハグ監督は「練習でのパフォーマンスが不十分だった」と述べました。
これに対しサンチョはSNS上で即座に反論し、「真実ではない発言を許さない」「自分はスケープゴートにされている」と主張しました。
このSNS投稿は後に削除されましたが、テン・ハグ監督が謝罪を要求し、サンチョが拒否したことで対立が決定的になりました。
結局、チームメイトやクラブ関係者の説得にも関わらず、サンチョは謝罪を拒否し、チームから完全に追放されました。
ドルトムントでの復調と限界
2024年1月、サンチョはレンタルで古巣ドルトムントに復帰しました。
「故郷に戻ったようだ」と本人も安堵し、徐々にフォームを取り戻しましたが、かつての圧倒的な活躍には及ばず、21試合で3ゴール3アシストにとどまりました。
それでもチャンピオンズリーグ決勝進出に貢献するなど、一定の成果はありましたが、財政的な問題で完全移籍は実現しませんでした。
チェルシーからの異例の支払い
2024年8月、サンチョはチェルシーへレンタル移籍しました。
チェルシーはプレミアリーグで14位以上の場合、2500万ポンドでサンチョを完全移籍で獲得する義務がありましたが、達成できなかったため、契約を回避するための500万ポンドの違約金を支払う選択をしました。
チェルシーでのサンチョは5ゴール10アシストとまずまずの成績を残し、UEFAカンファレンスリーグ決勝でもゴールを決めて優勝に貢献しました。
しかし、総合的なパフォーマンスは十分ではなく、特に週給30万ポンド(約4800万円)の高額給与がネックとなり、完全移籍は見送られました。
今後のサンチョの展望
25歳となったサンチョの今後を考えると、自己管理能力の向上が不可欠です。
遅刻や態度の問題が改善されない限り、どれほど才能があってもキャリアは行き詰まります。
適切な環境を選ぶ重要性も、浮き彫りになりました。自身のプレースタイルに合致するチーム選びが、サンチョが復活する鍵になるでしょう。

次の移籍先選びが、彼のキャリアを再建できるか否かの大きな分岐点となるはずです。