トッテナム・ホットスパーは、2024-25シーズンに欧州リーグ制覇という大きな成果を挙げながらも、シーズン終了直後にアンジェ・ポステコグロウ監督を解任しました。
この決断に対し、キャプテンのソン・フンミンをはじめ、多くの選手やサポーターから感謝と驚きの声が上がっています。
本記事では、解任劇の背景、選手たちのコメント、クラブの今後の動きまで詳しく解説します。
- ソン・フンミンがSNSでポステコグロウを「クラブのレジェンド」と称賛
- マディソン、ビカリオら主力選手たちも感謝のコメントを投稿
- プレミアリーグ17位という低迷が解任理由に
- 後任監督候補としてトーマス・フランク、マルコ・シウバ、マウリシオ・ポチェッティーノらの名が浮上
- ファン・OB・地元メルボルン市長までがクラブ決断に疑問を呈する声
ソン・フンミンの「レジェンド宣言」が示す監督との絆
トッテナムのキャプテンでありクラブの象徴でもあるソン・フンミンは、今回の解任劇を受け、Instagramで長文の惜別メッセージを投稿しました。
ソンはこう綴っています。
「あなたは自分自身と私たちを初日から信じてくれた。誰よりも私たちの可能性を理解し、自分のスタイルを貫いた。そしてその結果、クラブに最高の夜をもたらした」

ポステコグロウ監督は2023年夏の就任直後に、ソンをキャプテンに指名。キャリアの中でも「最高の名誉だった」とソンは振り返っています。
リーダーとして成長する機会を与えられたソンにとって、ポステコグロウは単なる監督以上の存在であり、彼の人間性やリーダーシップから多くを学んだと語りました。
このように、ポステコグロウ体制では監督と選手の信頼関係が、極めて強固だったことがうかがえます。
マディソン、ビカリオ、ファン・デ・ヴェン…選手たちの惜別の声
キャプテンのソンだけでなく、他の主力選手たちも次々にSNSで監督への感謝を表明しています。
ジェームズ・マディソンは、こうコメントしています。
「就任早々に副キャプテンとして迎え入れてくれたこと、一生忘れません。欧州王者という栄誉を掴むことができたのは、監督の勝利への執念とリーダーシップのおかげです」

ビカリオは、自身のインスタグラムで「最初の電話からずっと信じ続けてくれた。リーダーとして、師として常に背中を押してくれたことに感謝している」と投稿。
ゴールキーパーとしての自信を与えてくれたことを強調しました。
さらに、ミッキー・ファン・デ・ヴェンは「多くの浮き沈みの中でも常に信じてくれた」と、1年目の成長を支えてくれた監督の姿勢に感謝しました。
冬の移籍で加入したドミニク・ソランケも、「入団前の面談での約束を果たしてくれた」と振り返り、選手一人ひとりに寄り添うポステコグロウの人間性が浮き彫りとなっています。
解任に至った現実:欧州タイトルとリーグ低迷のギャップ
一見するとポステコグロウ体制は、成功に見えます。
実際、2024-25シーズンのヨーロッパリーグでは17年ぶりのタイトルを獲得し、多くのサポーターの歓喜を呼びました。
しかし、クラブ首脳陣が重く見たのはプレミアリーグの成績でした。
38試合中22敗を喫し、わずか17位でのフィニッシュ。降格こそ免れましたが、これまでのトップ4常連クラブとしては屈辱的な成績だったのです。
ダニエル・レヴィ会長をはじめとする経営陣は、カップ戦の栄光以上に「リーグ戦の安定感」を重視する方針を貫きました。
ポステコグロウの攻撃的サッカーは時に大胆すぎ、守備の崩壊が批判の的にもなっていました。
欧州制覇という感情的成功と、シーズンを通じた安定性という構造的課題の間に生まれた葛藤が、今回の決断につながったと言えます。
クラブ内外で広がる賛否両論:サポーターと地元市長まで反応
トッテナム・ホットスパー・サポーターズ・トラスト(THST)は公式声明を発表し「カップ戦の成功は称賛されるべきだが、リーグ戦の結果は期待を大きく下回った」としつつも、「多くのサポーターは今後もアンジェを愛し続けるだろう」と複雑な心境を表明しました。
さらに、ポステコグロウの出身地であるオーストラリア・メルボルンの市長までもが「この解任は再考すべき」と声明を出し、世界中の注目を集めています。
SNS上では、「これ以上ない素晴らしい文化を築いた監督をなぜ切るのか」「長期的視野が足りない」とクラブの判断に批判的な声が広がっています。
後任監督候補は誰? トッテナムの次なる一手
現在報道されている有力な後任候補は、以下の通りです。
▶︎トーマス・フランク(ブレントフォード監督)
現実路線の堅守速攻型サッカーでブレントフォードを、安定運営する手腕が評価されています。すでに本人もトッテナム行きに前向きと報道されています。
▶︎マルコ・シウバ(フルハム監督)
プレミア経験豊富でバランス型のサッカーを志向。選手育成と中長期ビジョンで評価が高まっています。
▶︎マウリシオ・ポチェッティーノ(前トッテナム監督)
復帰説が定期的に浮上。クラブをチャンピオンズリーグ決勝に導いた実績を持つ。
▶︎オリバー・グラスナー(クリスタル・パレス監督)
戦術家タイプで、組織力を重んじる。長期プロジェクトに向いた人材とも言われています。
クラブ首脳陣は、「短期の成功ではなく、5年後の持続的成功」を軸に次期監督選定を進めている模様です。
ポステコグロウの解任は正しかったのか?
今回の解任劇は「サッカー経営の難しさ」を象徴しています。
ポステコグロウが短期間で築き上げた攻撃的サッカー、選手育成、チームの一体感は確かに素晴らしいものでした。
しかしプレミアリーグという過酷な舞台では、年間を通じて結果を残す安定感も必要とされます。
私は個人的に、「もう1年任せるべきだった」と感じています。若手も伸び、戦術も浸透し始めていたからです。
今後、クラブが新監督の下で安定性を築けるのか。
ポステコグロウの功績が正当に評価され続けるのか。トッテナムの未来を占う重要な分岐点に立っているのは間違いありません。